「弓」(2005年)(2008年10/29・一部変更部分あり)

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現在最新作「絶対の愛(原題:時間)」が公開中の映画の中でも特に独特な映画らしいともらしくないとも言える作風で知られるキム・ギドク監督が「絶対の愛」の1年前に制作した作品。

「絶対の愛」日本公式サイト

キム・ギドク監督の作品は、海外での評価はかなり高いようですが本国では否定的な意見も多いようででの紹介数はかなり寡作でもあります
「弓」を観ると、エロス(エロティシズム)が“巨○”とか“爆○”(70年代前後を知っている方には、月亭可朝さん(プロフィール出典:ケーエープロダクション㈱公式サイト)のコミックソングにもなっている「○イン」という表現が馴染み深いと思います)や「グラビアの夜」に登場するような、挑発的なポーズや露出の高さだけで表現できるほど単純な物ではないと実感させられます

以前、橋田寿賀子さんが映画界からドラマに転向した理由を「脚本家が書いた物が、監督のツルの一声で変えられてしまう。結局映画は監督の物」だからだと聞いたことがありましたが映画は「監督=作風」の傾向が特に顕著なようです
キム・ギドク監督は、他の監督のように大学や専門学校で映画を専攻して学んだり、大物監督の下で助監督としてキャリアを積んだことはないらしく「鬼をもひしぐ」と称される、海兵隊出身だそうです
(プロフィール出典:フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
作風はバイオレンスと共に、宗教色も併せ持つオリジナリティに満ちています
「弓」のエンドロールには歌手さん達のアルバム「第○集」のように“キム・ギドク監督12番目の作品”と表示されています

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主役の少女役はサマリアに続いて起用された、ハン・ヨルムさん
映画「弓」は、極彩色の仏教画が描かれた古い木造船で釣り船を営みながら船上生活をする老人と、共同生活をしている謎めいた少女の物語
釣り船の常連客達の会話によると、少女は6歳の時に迷子になって老人に引き取られて以来船の上から一歩も出ずに10年を過ごしています
老人にとっての人生とは、少女が17歳になったら結婚するまでの時間
生活用品や食料を買いに行った帰りに少しずつに必要なや道具を買い揃え、結婚式までは二段ベッドでけじめをつけてはいますが、毎晩彼女の体を洗い清め“結婚の文字が書かれているに×印をつけて結婚式の日を指折り待ち望んでいました
少女も夜は老人の弓が奏でる子守歌に眠り、昼間は同じ弓で自分に手を出そうとする客から守られ、時にはブランコをこぐ少女のそばに射られた弓を使っての占い…と2人にとって「弓」は世界を守る全てであり絶対的な絆や信頼の象徴でもありました

しかし、ある日親子でやって来たお客の息子と少女が仲良くなったことから2人の関係の歯車が狂い始めます
同世代の青年と初めて接触して、ヘッドホンステレオので映した写真を通してお互いに好意を抱き合う少女と青年
もちろん少女と青年の間に発生した好意は自然の成り行きではありますが、青年に嫉妬をあらわにする老人に反抗的な目を向け始め、老人の目の前で釣り船の客を挑発するような態度を取ってみたり老人が自分に手を出せないのを知った上での残酷な行為を繰り返すようになった少女
体を洗わせることにも不快感を表す少女に苛立った老人は、結婚予定日が書かれたに一度に×をつけ、最後はを全部一度に破り捨てて二段ベッドをダブルベッドにしてしまいます

再び訪ねて来た青年は少女の捜索願いを持って来ます
迷子の少女を10年間監禁…明らかに犯罪行為ですがの古典文学「源氏物語」の紫の上も父親が育児放棄をしていたとはいえ、光源氏の屋敷にいきなり連れて来られて事後承諾で初夜を迎えた訳ですから「弓」の少女に近い物がありますね
紫の上に生涯自分が産んだができなかったのは、光源氏が世界の全てだったことで、精神的にも肉体的にも成熟できなかったことが原因なのではないかと思います
「少女を自分の手で育てて、そのままに」という行為は、男性の独占欲やエゴ・コンプレックスを表現しているのでしょう
夜の船の中で少女は青年に自ら迫り、青年を殺そうとする老人との間に立ちはだかって庇おうとします諦めたのか、少女を解放することにした老人
青年と少女を乗せて船を離れて行くボートにつないだ縄を自分の首に巻きつけて死のうとしますが、気づいた少女は大急ぎで戻って来ます少女が戻って来ることを知って、苦痛に耐え切れず縄を切ったナイフを物陰に隠す老人
結局老人の望んでいた通り、少女は老人が用意していた衣装に身を包んで結婚式を挙げるのですがなぜか結婚式の直後少女が眠っている間に空に向かって矢を射ると入水自殺をしてしまう老人
船の上で老人を受け入れるように身悶えする様子をしながら眠っていた少女の足元に、不意に矢が突き刺さって出血
リンク先ブロガーさんの間でも意見が分かれた部分でしたが、私はおそらく老人が放った矢は最後まで結ばれることを果たせなかった未練や男性の象徴・少女の出血は「老人以外の男性と接触しないまま社会から遮断された場所で10年間過ごしていたことで精神的成長が止まってしまった少女の前に青年が現れたことで女性として一気に成熟した(事実、釣り船の客を挑発するような態度は女性の残酷さそのものですよね)ことに伴って身体も成長した=初潮を迎えた」のではないかと思います
「社会から遮断された場所で過ごしていた少女が、女性として一気に成熟」というと、私は手塚治虫さんのマンガ奇子あやこ」を思い出します

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  • マンガ界の神・今は亡き手塚治虫さんが描いた「奇子あやこ
    ストーリーの軸は戦後社会の暗部ですが、大人になってから改めて読み返してみるとあまりにもエロティックなのでです
    手塚治虫さんは、さすがは関西人です
    無駄に露出するだけではない、密やかで高度なエロティシズムを感じます

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    関連タグ : キム・ギドク監督, エロティシズム, 助監督, 宗教色, ハン・ヨルム, 釣り船, 結婚式, 手塚治虫, マンガ, 関西人,

    コメント
    この記事へのコメント
    非常に鮮烈でしたね、
    少女役のハン・ヨルムちゃんサマリアでは脇に回ってましたが、しかし印象の強い独特の演技をする子だと思ってました。ギドク監督、そこに目をつけたのでしょうね、主演に抜擢、しゃべることなく目と体で上手く演技をこなしました。
    ギドクの作品、特徴的なのは脚本も自分で書き演出も自ら、しかも早撮りでこれだけの作品が作れる。いわば相当なワンマン監督でしょうし、スタッフも着いていくのがしんどいとは思います。
    賛否両論ある評価のギドク。絶対の愛、これ絶対観たいですよねー
    2007/05/08(火) 19:40 | URL | 石圭 #StrVqCDE[ 編集]
    石圭さん、こんばんは。コメント・TBありがとうございますv-411
    ハン・ヨルムさん、本当にほとんど声を出す場面もなく少女が女性に変貌して行く過程を演技していましたねv-425
    「絶対の愛(原題:時間)」ですが、映画「誰にでも秘密がある」韓国版エンディングでオブラートに包んだ形で表現されていた韓国の社会現象・○○を、手術現場の撮影許可まで取って制作したそうですねv-405
    ギドク監督、脚本・演出全て自分、しかも早撮りですか。
    撮影現場にいる段階で全て構想から絵コンテ、音楽etcが頭の中で完成しているのでしょうね。
    確かにスタッフは相当大変そうです。オリジナリティが強過ぎて、学ぶ事もかなり多そうですし。
    その代わり自分がi-111を握る時には、大抵の事には耐えられそうです。
    作品を一度スクリーンで観てみたいと思っていますが2年程前に「韓流フェスティバル」の一環として、雑居ビルの中のミニシアターで「コースト・ガード」が上映されただけですし「夏物語」も、オリジナル版を上映しないまま1月ほどで打ち切りになってしまったわが県では、おそらくソフト待ち確実だと思いますv-406
    2007/05/08(火) 21:44 | URL | 猫型人間 #3qKVsDjE[ 編集]
    猫型人間さん♪
    こんばんはー☆ 猫型さんならではの解説おもしろかったでーす! 私はこの映画ってやっぱり老いの醜さ、エロティックさ...セリフのない静寂と そして素敵な音楽...キムギドクワールドだな!って思いました。 評価してよい監督だと思いますが...本国ではいろいろな意味でタブーの部分多すぎるのかな?(笑)
    絶対の愛...ご近所では上映終わっちゃいました。
    今年はサマリア、弓とみてきたので見たかったんですけど...ぼぉーっとしてるとあっという間です。 DVDかな...(最近そんな感じバッカリで...)また、遊びにきまーす!
    2007/05/09(水) 02:13 | URL | じゅん #qgXyQz0.[ 編集]
    じゅんさん、こんにちは。
    コメント・TBありがとうございますv-392
    >老いの醜さ
    「老醜」に注目するということは、じゅんさんは案外お若い方なのではと思います。
    私はどっちかというと老人寄り目線だった気がしますv-388
    >本国ではいろいろな意味でタブーの部分多すぎる
    韓国映画は「浮気な家族」などを観ても、かなり鋭い描写が多そうですがそんな韓国でも重過ぎるのでしょうかv-236
    >絶対の愛
    じゅんさんのご近所ではv-492上映していたんですね。わが地域では、上映どころかレンタル店にv-52が並ぶ可能性も危なくなってきましたv-394
    また、お立ち寄り下さいv-411
    2007/05/09(水) 14:45 | URL | 猫型人間 #3qKVsDjE[ 編集]
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    2007/05/08(火) | Blog韓国映画の部屋
    『弓』 チョンソンファン/ハンヨルム/ソジソク共演활(The Bow) 2005年キムギドク監督作品junsanga的評価 ★★★★☆(4つです。)【1】キムギドク監督作品は以前から興味があったのですが、私は今回が初見でした。他の韓国映画とは一線を画すそんな世界観....
    2007/05/09(水) | 韓ドラのたまり場